フィリピンに英語学習のため留学に1週間行っていたのですが、たびたびフリートークになるので、フィリピンについて気になることを聞いてきました。
(留学についてはこちら↓)
だいたいは「休日何してるか」とか「セブのどのビーチがきれいか」とかたわいもない話をするのですが、毎日同じ先生と話すので途中から慣れてきて本当に知りたい歴史について聞いてきました。
やっぱり歴史は国ごとに文化や性格は異なるためおもしろいですね。高校では世界史専攻でしたが、僕のフィリピンの知識はマゼラン、米西戦争、ホセ・リサール、パッキャオ、ドゥテルテくらいのものです。今回はフィリピンの現大統領ドゥテルテについて実際にフィリピン人に聞いた話を書いていきたいと思います。
実際に話を聞くとあなたのドゥテルテに対する印象は大きく変わる・・・かもしれません(笑)
ドゥテルテとは
ロドリゴ・ロア・ドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte, 1945年3月28日- )は、フィリピンの政治家。現在、同国大統領(第16代)。ダバオ市長を7期務めた。
ダバオ市長となり同市の治安を改善させ、その後一国の大統領にまでなりつめた人物です。大統領就任前後からその過激な発言は注目を浴び、「フィリピンのトランプ」とまで揶揄されました。
その発言の一例を紹介します。
・「地獄へ行け」
・「くそったれ」(中指を立てながら)
(ドゥテルテ政権に懸念を表明するEUに対して)
・「ヒトラーは300万人のユダヤ人を虐殺した。(フィリピンには)現在300万人の麻薬中毒者がいる。私は喜んで彼らを虐殺しよう」
(大量虐殺をしたヒトラーに自分をなぞらえて)
これはほんの一例にすぎません。記録されている暴言は数知れず・・・。
そして最も有名な政策が麻薬中毒者を虐殺するというもの。具体的には麻薬使用者は初犯で逮捕ではなく、処刑なのです。町には警察によって射殺された死体がころがっているとかなんとか・・・。
ここまで読んだらわかる。
やばいやつや!!
さすがに日本ではありえないですよね。あの地下鉄サリン事件のオウム真理教幹部の処刑すら即執行されるわけではないですから。またオバマに対して「地獄へ行け」など今の安倍さんは決して言えないでしょう(言ってほしくもないですけど)
フィリピン人はどう思っているの?
日本では強権的で独裁者とまでニュースで言われているドゥテルテ氏ですが、フィリピンでの支持率は7割と非常に高いものがあります。
常々不思議に思っていたので思い切って聞いてみました。(政治とか宗教の話ってトラブルになりやすいので、慣れるまで聞けませんでしたが)
フィリピン人先生①
「ドゥテルテ大統領就任前は麻薬中毒者が多く、麻薬中毒者がレイプや強盗などの犯罪を犯していることがほとんどだった。確かに初犯で現行犯処刑は過激に見えるが、そこまでしないと治安の悪化は深刻な問題。ドゥテルテが大統領になってから女性は安心して外を歩けるようになった。」
この先生は支持しているとのことですが、「女性は安心して外を歩けるようになった」というのは如何にフィリピンが治安の安定しない国かということが伺えますね。日本とは環境が大違いです。
麻薬が蔓延したには様々要因があるみたいですが、1週間だけですが僕がフィリピンに滞在した感想としては貧富の格差は大きいように感じました。
要因としてはフィリピン人は長年定職につく人が少なく、3、4年という短いスパンで職を転々とする方が多いようです。だから出世が少なく、給料の上昇が見込みにくい。大企業は外国資本が多く、人件費の安さを求めて起業する(支店含む)そうです。植民地とされていたスペイン、アメリカなどの欧米企業だけでなく、中国企業も増えているとのこと。
つまり、フィリピン人は外国企業に雇われており、人件費はなかなか上がらない状況。
また優秀なフィリピン人は海外で就職するそう。また海外への出稼ぎも多いです。
こんなことからフィリピンに残った貧しい人は貧しいままというのが現状としてあります。その貧しさから町が荒れ、麻薬が使用しやすい環境ができ、治安も悪化するといった流れです。
また政治家や警察も腐敗しており、麻薬の使用を金で解決するというなんともワルな社会でした。
この負の連鎖を断ち切るべく、麻薬の激しい糾弾が必要でした。ただ麻薬中毒者を逮捕するだけではいけない(そもそも警察が腐敗しており、金を払えば出所できるから)と考えたドゥテルテは使用者は即処刑という方法で恐怖により、麻薬の使用を抑えようとします。これが効果を成し、フィリピンの治安は一気に改善、犯罪も減るのでした。
フィリピン人先生②
「麻薬中毒者には一度忠告しているから再犯は殺されるべき」
これは僕が無知だったのですが、日本のニュースで「処刑を恐れて刑務所はいっぱいになっている」ということを聞いて質問したのですが、彼女は「それは違う」とキッパリ。
実際のシステムは以下とのこと。
①ドゥテルテ大統領就任前の薬物使用者は一度警察に自主しにいく
②そこで即処刑されるわけでも逮捕されるわけでもなく、ブラックリストに追加される。そして忠告されます。「これまでの薬物使用歴は刑罰対象にならないが、次回以降は処刑する」と。
③そしてその場で釈放されます。しかしそのブラックリストに載っている人が薬物使用を見つかれば、忠告の通り即射殺されます。
つまり、薬物使用者が刑務所に入ることはありません。
ほおー、ではあのニュースはなんだったんだ・・・(笑)
わかる方いましたら教えてほしいです。
でもここで一つ疑問が残ります。
薬物中毒の再犯率は高く、自分の意思ではどうにもならないことが多いです。
それについても聞くと、「警察に忠告されたら、自ら病院に行かなくてはいけない。それを怠ったほうが悪い。再犯は罰されるべき」と言っていました。
うーん。やや強引な気がしますが・・・。
英語のレッスンは普通に優しく、むしろ謙虚な先生なのですが、ここまで強気に言うということはそれまでのフィリピンの社会がいかに腐敗していたかを強く感じます。
まとめ
ドゥテルテは世界からすれば一見危険な独裁者であるが、「きれいごと」を嫌い、はっきりした行動で治安を改善してきました。それが支持率にも表れ、英雄とまで言われる理由でしょう。
日本と同じ環境で考えれば、この独裁や政策は過激と言えますが、フィリピンの環境からすれば正しいと言えるのかもしれません。多くのフィリピン人はそう考えていることだと思います。
「安心して町も歩けない社会なんてウンザリだ」と
まあただ、個人的にはこれまでの過激発言や政策は必ずしも善とは言えないような気がしますが、その国の社会状況までしっかり調査して、体感しないと善悪の判断をするには尚早かと思いました。